◇全国高校野球選手権福島大会・第１３日準決勝（２３日・あづま球場２試合）

　学法石川　６―３　会津北嶺

　打球は夏空に吸い込まれるように舞い上がり、左翼手の頭上を越えていった。三回無死、学法石川の５番松山拓未（３年）が放った本塁打は、試合の流れをぐっと引き寄せる貴重な追加点となった。

　相手投手が交代した直後の打席。ここで相手に流れを渡す訳にはいかなかった。「とにかく出塁しよう」。一球目、内角低めのスライダーを捉えた。「いい当たりだと感じた」。スタンドからの歓声で本塁打を確信。ガッツポーズでダイヤモンドを一周した。

　甘い球を捉えられず、これまで何度も悔しい思いをしてきた。昨秋の東北大会での敗退後は、１日５００回の素振りを自らに課した。愚直にバットを振ってきた成果が、この日の打席に生かされた。

　「見せるプレーではなく、自分たちのプレーを」。周囲の目を意識しすぎることなく、いつも通りのプレーをしようという佐々木順一朗監督の教えを胸に、２４年ぶりの甲子園出場を懸けて王者聖光学院に挑む。

　「決勝で勝って喜びを分かち合いたい」と松山。日々の鍛錬に裏打ちされた打撃力を駆使し、学法石川の新しい歴史をつくる。（小幡あみ）