聖光学院連覇【全国4強のその先へ・下】 死闘で見えた課題

 
再始動した聖光学院の選手たち。福島大会での反省を踏まえ、練習に励む=27日

 「練習では見られないミスが出た。夏の決勝を終えて、これほど反省点が出たことはこれまでなかった」。聖光学院の斎藤智也監督は、延長十回タイブレークの末に競り勝った福島大会の決勝をそう振り返る。死闘の中で浮かび上がった課題をいかに今後の勝利につなげるか。夏の甲子園開幕までの期間、聖光学院の真価が問われることになりそうだ。

 投手陣と下位打線カギ

 甲子園で4強入りを果たした昨年のチームは、エース佐山未来投手にかかる負担が大きく、エースだけに頼らない継投をどう実現するかが一つの課題となった。これに対し今のチームは、指揮官が昨秋から「エース不在」と話す通り、複数の投手による継投策で勝ち上がってきた。

 決勝も4人が登板したが、与えた四球は9、被安打13。指揮官は「四球がネック。大会ごとに成長してくれないと強力にならない」と引き締めるように厳しい口調で話す。

 決勝では収穫もあった。登録メンバー中唯一の下級生、高野結羽(ゆう)(2年)は三回途中から登板し、六回まで投げて1失点と好投。「制球力はまだまだだと感じた」と話すが、最速141キロの直球を軸に投げっぷりの良さが目立った。

 「エース不在」の中、投手陣全体がさらにレベルアップしていけるかどうかが、今後の勝利の鍵となる。一方、打撃面では、下位打線を攻撃の起点にできるかが重要なポイントだ。

 福島大会では出塁した1番高中一樹(3年)を中軸がかえし、上位打線がしっかり機能していた。半面、下位打線は得点圏で凡退する場面もあった。6、7番を担った片山孝(同)は「中軸の後は相手も油断してくるかもしれない。6番からが大事だと思っている」と表情を引き締める。

 ナインは27日、甲子園に向けて再始動した。福島大会での反省を成長の糧にし、昨夏を超える旋風を巻き起こす。(この連載は熊田紗妃が担当しました)

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