【つないだ襷・箱根駅伝100回】主将として名門先導、3年ぶり栄冠

 
主将として駒大を引っ張った安西は現在、都道府県駅伝の監督を務めている。来年は自身のクラブチームを設立する予定だ

 「このチームが一番だと思って2日間戦い切ろう」。2008年の第84回大会。3年ぶりの優勝を目指す駒大の主将安西秀幸は、大会前最後のミーティングでこう語りかけてチームを鼓舞した。本人はこの時の言葉をはっきり覚えていないが、チームメートの心にしっかり刻まれ、その記憶に残る。

 大学1年時、安西は先輩に帯同する形で駒大の4連覇となる優勝を遠巻きから見ていた。その時は「箱根はこんな舞台なんだ」とチームの一員と言うよりはファンの目線でいた。2年生では選手として7区を走ったが納得する走りはできず、駒大も優勝を逃した。3年生は発熱のため走れず、チームは7位。4連覇から今度は2年連続で悔しさを募らせる結果となった。

 主将に就いたのは3年生の夏。駒大に限ったことではないが、全国から集まるアスリートたちをまとめるのは容易ではない。当時の駒大はマネジャーを含め部員数は約50人。練習は監督やコーチがかじを取り、主将は私生活に目を配った。

 休まず授業に出席しているかなどもチェックした。仕送りや奨学金で生活し、誰かの助けを受けて日々を送る大学生として、当たり前のことができていない部員にははっきりとだめだと伝えた。「厳しい言葉もぶつけたと思いますよ」

 4年生で迎えた第84回大会。5区にエントリーした安西は、5位でたすきを受けると、区間2位の走りでチームを2位に押し上げた。そして駒大は3年ぶりの総合優勝を手にした。

 「『良かった、うれしい』というよりは、ほっとしたという気持ちが大きかったと思う。肩の荷が下りたという感じ」。当時の心境をこう思い返す。

 現在は全国都道府県対抗男子駅伝本県監督の顔も持つ安西。選手から監督に立場を変えて、2019年には本県チームを東北勢初の優勝に導いた。「『勝ちにいって勝つというのは難しい』と言いますよね。それに挑戦することが大事なんです」(敬称略)

箱根駅伝成績

 あんざい・ひでゆき 会津若松市(旧河東町)出身。会津高、駒大卒。駒大時代は3年生の夏から主将。卒業後はJALグランドサービス、日清食品グループに所属。2015年に同市に戻り、農業資材などを扱う家業の安西商会に勤務。17年から全国都道府県対抗駅伝で男子の本県監督を務める。38歳。

2008年大会での安西5区で2位に浮上し、3年ぶりの優勝へ道筋をつけた安西=2008年1月

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