箱根駅伝、福島県勢...復路6人出場 城西・林、7区5位の好走

 
7区を区間5位で走った城西大の林晃耀=平塚中継所

 3日に終えた第100回東京箱根間往復大学駅伝では、青学大が10時間41分25秒の大会新記録で優勝し、幕を閉じた。2位駒大に続き、城西大が過去最高の3位に入った。

 復路の福島県勢は、7区を走った城西大の林晃耀(こうよう)(いわき総合高卒)が1時間3分24秒で区間5位に入った。8区を走った国士舘大の生田目惇(すなお)(田村高卒)は区間13位、東農大の円谷吏生(りお)(学法石川高卒)は区間19位、9区の創価大の吉田凌(同)は区間15位、駿河台大の長田拓巳(同)は区間21位、10区の国士舘大の鈴木伸弥(茨城・水城高卒、植田中卒)は区間15位だった。

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 城西過去最高3位、7区・林「我慢」の力走

 「見えない力を発揮できた」。城西大7区の林晃耀(こうよう)(3年、いわき総合高卒)はレース終盤に足を止めるアクシデントもあったが、最後は満面の笑顔で仲間のもとにたすきを運んだ。区間5位の走りで、城西大の過去最高成績となる総合3位に貢献した。

 前回大会に続き2年連続で7区を託された。「速いタイムで入り、あとは我慢する」。経験を生かしながらイメージ通り攻めたが、試練が待ち受けていた。

 7区は序盤に箱根の山から冷たい風が吹き下ろし、太陽が昇るにつれて今度は気温上昇がランナーを苦しめる難しい区間とされる。林も力走で発汗し、気付かないうちに体力を消耗。残り3キロ地点で右足がつり、一時はコース上でストップした。痛みで表情がゆがんだ。それでも、平塚中継所で自分を待つチームメートの姿が思い浮かぶと、不思議とパワーがみなぎった。

 記録は1時間3分24秒。1年前の自分を34秒上回ったものの「目標の1時間3分1桁台に届かず悔しい」と唇をかむ。

 今季は大学三大駅伝を全て経験。最上級生で迎える来季は大学三大駅伝全てで区間賞を目指す。「箱根で優勝できるようなさらに強いチームにしたい」。鋭いまなざしで誓った。(鈴木健人)

 国士舘・鈴木粘り見せた

 国士舘大は過去10年で最高の12位。最終10区までシード権争いに絡んだ。区間15位と粘走したアンカー鈴木伸弥(3年、茨城・水城高、植田中卒)は「疲れが吹っ飛ぶくらいの声援が背中を押してくれた」と、人垣ができた東京・大手町のゴールに飛び込んだ。

 「モチベーションが上がった」。シード圏内の10位と34秒差でたすきを受け、シード権獲得を信じて前を追った。後ろを走る中大の選手に最後は先着を許したものの、一斉スタート時にあった差をわずかに守って順位を維持した。

 鈴木は自身と同じ植田中卒で幼なじみの友人の叔父に当たる小川博之監督(いわき市出身)を慕い、国士舘大に進んだ。指揮官は「シード権には届かなかったが、役目は果たした」と成長に目を細めた。

240104spurt-run702.jpgゴールし、チームメートに迎えられる国士舘大の鈴木伸弥(左)=東京・大手町

 国士舘・攻めた生田目

 国士舘大8区の生田目惇(すなお、3年、田村高卒)は「沿道の応援がすごい力になって楽しく走れた」と、区間13位となった初の箱根駅伝を振り返った。

 小川博之監督からの「あこがれの舞台だぞ」との声かけで気合を入れ直し、攻めの姿勢で前の走者との距離を縮めた。15キロ付近で失速したことを踏まえ、この日の走りを80点と自己評価。「上りを強化して今以上の結果を残す」と成長を誓った。

240104spurt-run703.jpg8区を走った国士舘大の生田目惇(左)=戸塚中継所

 創価・吉田2年ぶり箱根路

 2年ぶりの箱根路を走った創価大の吉田凌(3年、学法石川高卒)は9区を任され区間15位。「走れたうれしさはあったが、2年分の思いは晴らせなかった。少し悔いは残る」と大舞台を振り返った。

 1年生だった2年前は8区を走り区間8位。昨年は本番に調子を合わせられず、出場を逃していた。

 これからは、吉田らの代がチームをまとめていくことになる。「自分たちの代で優勝したいと1年時から言ってきた。引っ張っていきたい」と言葉に力を込めた。

240104spurt-run704.jpg9区を走る創価大の吉田凌(左)=戸塚中継所

 東農・円谷8区で奮闘 

 区間19位となった東農大8区の円谷吏生(りお)(2年、学法石川高卒)は「憧れていた舞台で走れてうれしいが、思うような走りはできなかった」と複雑な心境を明かした。

 前日にチームメートが体調を崩し、急きょ10区から8区に変更になった。想定していなかったコースで失速を余儀なくされたが、最終盤では後ろから迫る選手に競り負けなかった。「東農大の顔として、引っ張っていける選手になりたい」と今後の活躍を誓った。

240104spurt-run705.jpg8区を走り抜き、たすきを渡す円谷吏生(左)=戸塚中継所

 駿河台・長田ほろ苦初出場

 駿河台大の長田拓巳(2年、学法石川高卒)は9区を走り、区間21位。10区は無念の繰り上げスタートとなり、往路からつないだたすきをアンカーに渡すことはできなかった。「想像以上に沿道の観客が多かった。雰囲気にのまれてペースを乱した」と悔やんだ。

 初の箱根で復路最長の23・1キロを懸命に走ったが、20キロを過ぎた辺りで指揮官から「繰り上げになりそうだ」と伝えられ、悔しさがこみ上げたという。「この経験を糧に1年間練習したい」と覚悟を口にした。

240104spurt-run706.jpgたすきを受ける駿河台大9区の長田拓巳(右)=戸塚中継所

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