水素ステーション連絡協設立 福島県内36企業・団体が参画

 
水素社会の実現へ連携を誓うステーション事業者

 燃料電池車(FCV)などに水素を充填(じゅうてん)できる水素ステーションを運営する福島県内事業者や自治体など計36の企業・団体が19日、県水素ステーション連絡協議会を設立した。水素ステーションは高額な運営費をはじめとする課題が多く、事業者間の連携を強化し、国に必要な政策を提言する役割を担う。協議会によると、県単位での事業者の連携組織は全国で初めて。

 水素ステーション事業者は伊達重機(浪江町)、根本通商(いわき市)、ふくしまハイドロサプライ(福島市)、佐藤燃料(郡山市)の4社。県内で水素の実証事業に取り組むトヨタ自動車や大林組などの関連企業に加え、県やステーション立地4市町も特別会員や賛助会員として参画する。

 浪江町で開かれた設立総会では構成員が連携して▽情報共有▽実証事業への協力▽人材育成▽先進地視察▽行政への政策提言―に取り組むことを確認した。提言は規制緩和や技術革新、経済支援などを想定する。

 会長に就いた根本通商の根本克頼社長は「脱炭素社会の実現に向け、次世代エネルギーを模索する筆頭が福島だ。協議会を活用し、日本のモデルになれるよう取り組む」と説明。連携組織の設立を提案した伊達重機の前司昭博社長は「水素社会の実現には関係者の協力が必要」と訴えた。

 県内のFCVは2月末時点で446台あり、東北(計580台)で最も普及が進む。水素ステーションはガソリンスタンド同様の「定置式」4基と車に設備を積んだ「移動式」1基の計5基があるが、高額な維持費に加え、粗利が出にくい構造的課題が事業者の重い負担になっている。