福島県、商店街のDX促進支援 システム構築、実施主体に補助金

 

 県は新年度、商店街のデジタル変革(DX)促進に向けた支援に乗り出す。大型店舗の郊外進出や新型コロナウイルス禍で注目が高まったオンラインストアの普及など、商店街を取り巻く環境が厳しさを増す中、「オンライン商店街」のシステム構築などに取り組む市町村や事業所のデジタル化を後押しすることで、商店街の販路拡大と顧客の確保につなげる。

 具体的な支援策として、仮想現実(VR)などのDX技術を取り入れたオンライン販売システムの構築を目指す市町村をはじめ、商工会や地域のまちづくり会社などに最大300万円を補助する方針だ。デジタル技術を活用した商店街運営を今後の商店街活性化のモデルとしていくことも念頭に置いており、県は計画段階から積極的に事業に関与していくという。

 県によると、本県の商店街は、後継者不足などで空き店舗が増加傾向にあるという。それに伴い、まちなかのにぎわいの衰退が長年の課題となっている。県商店街実態調査(2022年度)によると、空き店舗への対応を巡っては、コミュニティー施設や創業者支援の場として活用している事例が各6%と一定程度ある一方、約6割の商店街では「特に関与していない」状態だった。

 こうした背景から、県は空き店舗の活用に向けた家賃補助や、空き店舗を生かして創業を目指す人の育成事業などを展開してきた経緯がある。新年度は1900万円の関連予算を確保。商店街のデジタル化に着目し、新型コロナ禍を契機に消費者の買い物様式も多様化していることから「来てもらう商店街から、外に出て行く商店街」(商業まちづくり課)への転換を図りたい考えだ。

 一方、県は新年度、商店街を活用し、買い物困難者の支援に向けた仕組み作りに取り組む市町村も支援する方針だ。

 例えば、過疎・中山間地や、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出るなどした12市町村などを想定し、高齢化といった地域が抱える課題の解決を図りながら、商店街の新たな販路開拓も見据えている。既存の施設を活用した上で、商店街のにぎわい創出を図る取り組みも支援していく。