飛散防止「あらゆる想定を」 廃炉作業、1号機カバー解体

 

 東京電力福島第1原発の廃炉作業で、東電は今月中に1号機のがれき撤去に向けた建屋カバーの解体作業に入る方針だ。ただ、昨年8月の3号機のがれき撤去の際には大量の放射性物質が飛散した経緯がある。1号機のカバー解体とがれき撤去作業時に東電は「十分な飛散防止対策を講じる」と強調するが、効果を疑問視する見方は根強い。

 東電は飛散防止対策として粘着性のある薬剤の散布回数を増やすほか、散水などを行い放射性物質が付着したほこりやちりが舞い上がるのを防ぐ構えだ。しかし、屋外での作業となるため、強風などで放射性物質が再び飛散する危険性は拭えない。がれきの下など、隙間なく薬剤を散布できるかどうかも不透明だ。東電の対策に対し県幹部は「飛散を防ぐ抜本策とはいえず、あらゆる飛散のリスクを想定して対応すべき」と指摘している。

 昨年8月の3号機のがれき撤去作業では、放射性物質を含むほこりやちりが拡散、作業員らの身体が汚染され、南相馬市のコメが汚染された可能性が出ている。

 「汚染水タンク」増設

 東京電力福島第1原発で増え続ける汚染水に対応するため、東電はこれまでの目標から約10万トン増やし、来年3月末までに計約90万トン分を確保する方針だ。東電は「余裕を持った計画に見直した」と強調するが、汚染水対策は効果や実施時期が不透明で、実際には綱渡りが続きそうだ。

 現在、敷地内のタンクで保管されている高濃度汚染水は約36万トン。タンクから漏えいする危険性を減らすため、東電は62種類の放射性物質を取り除ける多核種除去設備(ALPS)を使い、全量を本年度中に浄化する方針だ。

 ただALPSは、不具合による処理の停止が頻発しているのが実情だ。汚染水の処理加速化が図られなければ、増設計画はさらに見直しを迫られる可能性もある。