【ふたば未来学園】 体験、交流"充実の毎日" 先進的教育

 

 双葉郡の教育復興の柱として期待される県立中高一貫の「ふたば未来学園高」。開校から約半年がたつ中、生徒たちは学校生活になじみ始め、演劇を通じた地域課題解決や「ふたばの教育復興応援団」の特別授業など、同校独自の先進的教育に挑んでいる。

 「宇宙に人はどれぐらい滞在できますか」「お年寄りは宇宙で楽に生活できるんですか」。「ふたばの教育復興応援団」の一員で宇宙飛行士の山崎直子さんを招いて8月に行った特別授業で、生徒からさまざまな質問が飛んだ。質問は山崎さんの講演を聴いた生徒たちが小グループに分かれて意見を出し合い、その場で考えたものだ。山崎さんは「相手の持ち味や意見を理解しながら自分の答えを探してほしい」と呼び掛けた。

 同校では通常の授業に加え、こうした特別授業をカリキュラムに組み込んだ教育が行われている。劇作家平田オリザ氏を講師に招き、地域の復興の課題を演劇で表現する授業では、生徒自らが地域住民に取材して脚本を考えた。夏休みには生徒7人がベラルーシで海外研修を実施。人数が少ないながらも野球やサッカーなど部活動も本格的に始めている。出雲優花さん(15)=いわき市出身=は「普通の高校とは違った体験が多い。いろいろな分野の人とも交流でき、この学校を選んで良かった」と充実した表情を見せる。

 丹野純一校長(48)は「(生徒同士が)違いを認め合える関係ができ始めた」と生徒たちの成長に手応えを感じている。入学試験を行わなかったことによる学力差など課題もあるが、今後、大学生による学習支援など課題解決に向けた取り組みが進む予定だ。