「Jヴィレッジ」復興の象徴に なでしこ合宿、新駅整備など注目

 

 4月20日は、復興の道を歩む福島の姿をアピールする日となる―。国内有数のサッカー施設「Jヴィレッジ」(楢葉町・広野町)が同日、全面再開する。記念すべきその日を前に2月下旬、サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の合宿が行われるなど、国内外からの注目が再び高まっている。

 緑まぶしい天然芝のピッチの上で、白河市出身のFW遠藤純選手(日テレ)ら世界の頂点を目指すなでしこジャパンが躍動した。再開後初めて行われたサッカー女子日本代表合宿。「何もかもが元通りにきれいになっている」。福島市出身の高倉麻子監督は復活したJヴィレッジのピッチを見渡した。

 東京電力福島第1原発事故後、東電の廃炉作業の拠点となって営業を休止した。施設の再整備が行われ、再び営業を再開したのは休止から7年4カ月が過ぎた昨年の7月だった。現在は約5000人収容のスタジアムや全天候型練習場など施設全体の9割が稼働、全天候型練習場も整備された。残る天然芝ピッチ2面も4月には復旧が完了する。JR東日本が整備を進めたJR常磐線の新駅「Jヴィレッジ駅」も4月20日の開業が決まっており、利便性向上のほか、Jヴィレッジを核とした周辺地域のにぎわい創出も期待されている。

 今後は大会・合宿の誘致、安定した宿泊者の確保などが課題となる。しかし、国や県は、2020年東京五輪・パラリンピックを見据え、Jヴィレッジを福島復興のシンボルととらえ、さらなる支援策を検討する方針だ。地元自治体を含めた官民一体となった利活用策の構築が求められる。

 2月24日にスタジアムで行われた福島ユナイテッドFC(J3)といわきFC(東北社会人1部)の福島ダービーマッチには、2000人を超える来場者が詰め掛けた。復活した「サッカーの聖地」。全面再開の時が近づいている。

Jヴィレッジ

 スタジアム5000人収容/天然芝ピッチ8面

 Jヴィレッジは1997(平成9)年7月に日本初のサッカーのナショナルトレーニングセンターとして開設した。施設面積は約49ヘクタール。5000人収容のスタジアムを含め天然芝ピッチ8面、人工芝ピッチ2面、全天候型練習場、雨天練習場、ホテル(総客室数200室)、フィットネスジム、アリーナ、プール、約730台収容の駐車場を備える。4月20日には全面再開を記念したイベントが行われる。

 アクセスが向上、敷地へ徒歩2分

 「より多くの利用者を呼び込む力となる」。Jヴィレッジ全面再開に合わせ、隣接するJR常磐線の新駅「Jヴィレッジ駅」も4月20日に開業を予定する。同施設へのアクセス向上で地元の地域振興への期待も高まる。

 新駅からJヴィレッジ敷地までは徒歩わずか2分。交通利便性が格段に向上するほか、JR東管内でアルファベットが入る駅名も初めてとあって鉄道ファンからも注目を集めそうだ。

 新駅は、同施設や周辺で開催されるイベントなどに合わせて乗り降りできる「臨時駅」となる。開業日は新駅で記念セレモニーが行われ、上下線合わせて12本、4月21日~5月6日は上下線10本の列車が停車する。Jヴィレッジの職員は「サッカー利用者以外の誘客にも力を入れている。新駅の効果を最大限に発揮できる魅力あるイベントを考えたい」と力を込めた。