【首長に聞く】川俣町長・藤原一二氏 山木屋での新規就農心強い

 
藤原一二川俣町長

 川俣町は、東京電力福島第1原発事故で山木屋地区に出た避難指示が解除されてから丸6年を迎える。地区では移住者らが新規就農するなどして営農再開の動きが加速している。一方、帰還の動きは鈍く、移住定住の促進が課題となっている。藤原一二町長は「新たな発想を持って山木屋地区のみならず、町全体の復興を成し遂げたい」と語る。

 ―復興の現状と課題をどのように捉えているか。
 「ハード事業はおおむね順調に進んだが、原発事故により加速した少子高齢化や人口減少の影響で確かな復興を実感できない状況にある。山木屋地区の居住者は331人(2月1日現在)で、このうち高齢者世帯が半数近くを占める。地区への移住定住の促進はもちろん、地域コミュニティーの維持が喫緊の課題だ」

 ―県が「ふくしま復興再生道路」と位置付けて整備を進めてきた町内の国道114号、国道349号の工事が本年度内に完了する。
 「両国道は物流や医療などを支える重要な幹線道路で、町の復興にとって待望の道路だ。山木屋地区と町中心部とのアクセスも格段に向上、人の動きも活発になるだろう。山木屋地区の住民とのつながりも強くなり交流活動などが活発化することで町民の心の復興が進むと期待している」

 ―農業振興や移住定住の促進をどう進めていくか。
 「山木屋地区で新規就農する若者もおり、非常に心強い。営農再開や新規就農を増やすには、地区内の農業体験施設などを活用し、農業の魅力を発信できるかどうかが鍵を握る。7人の地域おこし協力隊が精力的に活動しており、その内容は町のPR動画制作や川俣シャモ、川俣シルクの魅力発信など多岐にわたる。こうした活動の相乗効果で、町に人を呼び込む流れが生まれることを期待したい」