旧経営陣責任問う訴訟も進行 海洋放出巡り差し止め求め提訴も

 

 東京電力福島第1原発事故に関する裁判を巡り、避難者らによる集団訴訟のほか、東電の旧経営陣の責任を問う訴訟が刑事、民事の両方で進行している。福島第1原発で発生する処理水の海洋放出を巡っては、放出の差し止めを求める新たな動きも出ている。

 原発事故で津波対策を怠り、会社に巨額の損害を与えたとして、東電の株主が旧経営陣5人に対し、東電に総額22兆円の損害賠償を求めた株主代表訴訟で、東京地裁は昨年7月、旧経営陣4人の責任を認め、計13兆円の支払いを命じた。被告4人と株主側の双方が控訴しており、東京高裁で審理が進む。

 当時の会長をはじめ旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事裁判では、一審と二審の判決でともに3人に無罪が言い渡され、検察官役の指定弁護士が上告している。

 今年8月に始まった処理水の海洋放出を巡っては、本県や宮城県などの住民や漁業関係者らが、国や東電に放出の差し止めを求め、9、11の両月、福島地裁に訴えを起こした。