【TRY・eスポーツ(下)】奥深い戦術...仲間と連係、つかんだ勝利

 
自宅で通話しながら「伝説対決」をプレーする記者。味方チームと連係を深めるため、自分の行動を報告するのが重要だ(上)記者とリモートでプレーする小林さん

 試合が始まり、「伝説対決 Arena of Valor(アリーナ・オブ・ヴァラー)」でネット対戦に突入した。(白河支社・伊藤大樹)

 仲間は、eスポーツチーム「→XeSports(エクストイースポーツ)」を運営する小林翔太郎さん(38)だ。「上レーンに2人。こっちで何とかするから、下レーン攻めておいて」。ヘッドホンを通して、小林さんの声が飛んでくる。

 1チーム5人でキャラクターを操作し、相手陣地最深部にあるタワーを破壊したチームが勝利となる「伝説対決」。仲間とコミュニケーションを取り、戦略を立てながら相手陣地を攻め上がる。

 「一瞬の判断で、戦況が有利になったり不利になったりする競技。仲間と声を掛け合って連係を取るのが重要になる」と小林さん。仲間と連係を取り、チームに貢献しようと記者も「攻撃を受けて体力が少ないので、回復します」と自分の状況を伝えて戦う。

 社会人4年目となった記者。ふと仕事で大事とされるキーワードを思い出した。「報告・連絡・相談」の"ホウレンソウ"がeスポーツで生かされるとは思わなかった。それにしても小林さんの報告から上がってくる情報量と比べると、やはり記者の情報量は少ない。キャラクターの操作に気を取られ、報告できないのだ。

 試合は順調に進み、小林さんと記者のチームが、相手陣地の最深部にあるタワーの破壊に成功し、勝利した。仲間と連係してつかんだ勝利。大きな達成感を味わうことができた。

 「こうした声掛けを通じて連係することで、より強いチームに仕上がっていくんだよ」。試合後、小林さんが教えてくれた。

 今月から白河市を拠点に活動を始めるeスポーツチーム「→XeSports」は、プロ選手同士が生活を共にすることで普段の生活から仲間の性格などを知り、試合につなげるという。連係の重要さは、野球やサッカーなどのスポーツと同じだと実感した。

 eスポーツは日本で「ゲームなのに、スポーツなのか」と考えられがちだろう。確かに体を動かすことは少ないかもしれないが、チームの連係や戦術の奥深さなどは一般スポーツに引けを取らない。実際にプレーしてコンピューターゲームが「eスポーツ」と呼ばれる理由を体感した。