【4月6日付編集日記】主文

 

 裁判に例えるならば、判決を下すベースとなる事実の認定がほとんどないまま主文を言い渡したようなものか。はたから見ている私たちからすれば理解に苦しむ話だが、政治の世界でなら通用してしまうとしたら、何ともやりきれない

 ▼自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で関係した議員の処分が決まり、安倍派のトップだった2人が離党勧告を科された。政治資金収支報告書への不記載額や派内の立場などを踏まえ、党員資格停止や戒告など処分が分かれた

 ▼処分を受けた議員側にも言い分はさまざまあるようだが、不記載額が500万円以上あったかどうかで線引きされた。そもそも、金額の多寡で区別すること自体、市民感覚とかけ離れていることにお気付きだろうか

 ▼党内最大派閥だった安倍派で常態化していた還流がいつ始まり、中止を決めたのになぜ復活したのか。肝心なことが何一つ明らかにされないまま、幕引きとしていいはずがない

 ▼かつて宏池会を率いた大平正芳元首相が、こんな言葉を書き残している。「強力な政権は、強い反対党によって、腐敗から免れるものである」。自民1強と言われ久しい。バランスを欠いたままだとおごりが、また忍び寄ってくる。