最後まで心一つに チーム支えた学生コーチ、郡山の高橋記録員

 
学生コーチとしてチームを支えた郡山の高橋さん(左)=あづま球場

 試合に出られなくても、裏方としてチームを支えた。福島市のあづま球場で23日に行われた夏の高校野球福島大会準決勝で、記録員としてベンチに入った郡山の高橋翔太郎さん(3年)は「3年間苦しいことが多かったが、最後の1球、1秒までみんなと野球ができて良かった」と涙を拭った。

 元々は投手だった。中学生の頃に思い通りにボールを投げられなくなる「イップス」を発症。高校進学後は回復に向かい、昨秋にはマウンドで投げられるようになったが、今年3月に悪化した。「このまま投手を続けるより、コーチに回った方がチームのためになる」。悩み抜いた末、チームの裏方となる学生コーチに就くことを決めた。

 記録員としてベンチ入りしたこの日はスコアを付け、声援を送りながら仲間のプレーを後押しした。六回裏の攻撃ではチームに5連打が飛び出し「スコアが書き終わらないのがうれしかった」と最後まで一緒に戦い抜いた。

 イップスの経験も前向きに捉え、将来は指導者の道を歩むつもりだ。「諦めずにここまでやってきて良かった。悔いはない」。最後は充実した表情で、次のステージでの活躍を誓った。(佐藤智哉)

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