今井、五輪へ集大成 MGC・15日号砲、切符獲得へ福島県勢闘志

 
「福島県民が元気になる走りをしたい」と意気込みを語り、練習に励む今井(写真左)「代表を目指して頑張りたい」と語り、調整を進めている横田(写真右・JR東日本提供)

 東京・国立競技場発着で開かれるマラソンのパリ五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」が15日に迫った。強豪ぞろいの男子の出場選手の中に、南相馬市小高区出身の今井正人(39)=トヨタ自動車九州、原町高卒=と、学法石川高卒の横田俊吾(23)=JR東日本=がいる。県勢2選手は五輪への切符獲得に意欲を燃やし、福島からの応援を力にして本番に挑む。

 今井「最後、少しでも前に」

 「自分は粘って、踏ん張ってここまでやって来た。最後の勝負でも、少しでも前にいることができるよう頑張りたい」。13日、都内で記者会見に臨んだ今井は強い決意を口にした。

 今井にとって五輪出場は原町高時代からの目標だ。「僕が陸上選手となった原点は福島。MGCで僕らしい走り、福島県人らしい走りを最大限表現し、福島の皆さんに元気になってほしい」。古里への思いを原動力に、集大成と位置付ける自身2度目のMGCに挑む。

 順大時代は箱根駅伝で3年連続、山上りの5区で区間賞に輝き、初代「山の神」と呼ばれた。実業団入り後はしばらく苦戦が続いたが、2015年に当時日本歴代6位の2時間7分39秒をマークし、世界選手権代表に選出された。だが、レース直前に髄膜炎を患って欠場する苦い経験をした。東京五輪出場を懸けた19年のMGCでは25位に沈んだ。

 21年2月、あと1年で結果が出なかったら区切りをつけると、チームに告げた。それからは覚悟を決めて練習に打ち込んだ。22年2月の大阪マラソン・びわ湖毎日マラソン統合大会で2時間8分12秒の6位に入り、MGC出場権を獲得した。「狙うはパリ五輪。これは自分との約束だ」

 昨年11月に右足を故障し、今年2月まで走る練習は控えた。3月からジョギングを再開すると、少しずつ練習を積み上げ、7月から本格的なマラソンの練習に取り組んだ。「しっかり練習を積めている。あとは本番に体調を合わせること。前だけ見据えることに専念している」

 実戦から遠ざかり、しかも39歳と出場者の中で最年長だ。「年齢も含めて不安はない。僕の強みは経験の引き出しの豊富さ。どんな展開もうまく対応したい」と晴れやかな表情を見せた。古里からの応援を背に、今井のまなざしはパリを見据える。「最高の笑顔でゴールしたい」(国分利也)

 横田「2番以内に入る」

 出場者で最年少の横田は、青山学院大4年だった2月の別府大分毎日マラソンで2時間7分47秒の日本学生新記録を樹立してMGC出場権を獲得した。今春からJR東日本に入社し「コンディションは上がってきている。MGCは2番以内に入ることが目標」と意気込んだ。

 新潟県五泉市出身。強豪校で力をつけたいと学法石川高に進み、全国高校駅伝で活躍した。青山学院大時代は4年になってようやく好成績を収めた。今年1月の箱根駅伝で3区を走ってから約1カ月後の別府大分毎日マラソンで結果を出した。「大学4年間の成果が出せてうれしかった」

 レベルの高い実業団の先輩と一緒に走ることが刺激になった。「今は学生記録で終わりにしたくないという気持ちが強い」という。

 長距離界の実力者を多く輩出する学法石川高。「学石出身者をリードする存在を目指す。走る姿で福島県民が盛り上がるよう頑張りたい」と気合十分だ。

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 MGC 日本陸連が主催する五輪のマラソン日本代表の選考競技会で、指定大会などで順位と記録の条件を突破すると出場できる。パリ五輪の代表枠は男女各3で、上位2人が代表に内定し、残る1枠はその後の指定大会の結果で決まる。今年は国立競技場発着のコースで、男子65人(欠場者除く出場者61人)、女子27人(同24人)がエントリーした。

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