脚に痛み...「辞退したら後悔」 今井正人、MGCを振り返る

 
「脚の状態は良くなかったが、スタートラインに立たなかったら後悔すると思った」と、MGCを振り返る今井=福岡県・トヨタ自動車九州宮田工場

 マラソンのパリ五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」に集大成のレースと位置付けて挑み、途中失格となった福島県南相馬市小高区出身の今井正人(39)=トヨタ自動車九州、原町高卒。当日、何があったのか。練習拠点の福岡県で取材に応じた今井は、脚に痛みがあったとした上で「スタートラインに立たなかったら、将来、絶対に後悔すると思った」と覚悟して臨んだことを明かした。

 本調子からはほど遠かった。10月15日のレース当日、今井は序盤で先頭集団に離され、雨に打たれながら、後方で1人になって走った。自負してきた「粘り」と「攻め」の走り。それが発揮できない状況に「自分らしい走りって何だろう」と自問自答を繰り返した。30キロ過ぎで設定タイムに間に合わず、レースが終わった。

 体に異変が起きたのは、レースまで1カ月を切った9月20日過ぎ。本番を想定した強度の高い練習を取り入れ「十分に戦える」と手応えを感じ始めた中で、右太ももに痛みが出た。「スピードを上げた時に体も付いてこなくなった」。満足のいく練習ができなくなった。

 MGCを欠場し、五輪代表1枠に入る可能性がある三つの選考レース「MGCファイナルチャレンジ」(12月~来年3月)に切り替える選択もあった。だが最終的には「狙って調整してきたMGCに出ると決めた」

 当日は応援がいつも以上に力になったという。「たくさんの人のおかげで自分がこの場にいると実感できた」。地元から駆けつけた応援団や沿道の声援が今井を後押しした。

 レースから2週間がたち、現在の心境を聞くと「悔しさしかない」と語気を強めた。一方で「調子が整わない状況で臨まなければならなかったことも含めて、自分の人生だと思っている」と、気持ちに整理が付いている様子もうかがえた。

 現在は休養中で、MGCファイナルチャレンジに出場するかも含めて未定だ。「体を回復させることが先決。走れる状態まで戻った段階で監督とも相談して、どうするかを決めたいと思う」。最後は吹っ切れたような表情でうなずいた。(佐藤智哉)

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