会津から走り出せ! 名伯楽集結、中高生陸上クラブチーム設立

 
クラブチームの設立準備を進める(右から)安西さん、角田さんら。会津で国内トップクラスの選手を育成するために動き出す

 第84回箱根駅伝(2008年)の駒大優勝メンバーで全国都道府県対抗駅伝男子本県監督の安西秀幸さん(38)=会津若松市=は来年1月、会津17市町村の中高生を対象に陸上長距離のトップ選手を育成するクラブチームを設立する。公立中学校で部活動の地域移行も進む中、クラブチームが受け皿となり、全国トップクラスで活躍する人材を地元で育成する。

 指導者は安西さんのほか、強豪・高田中駅伝部(会津美里町)の監督を務める角田一昭教諭(61)=会津美里町=が本年度末で退職した後に、来年4月から合流する予定。また、安西さんの恩師で駒大陸上競技部総監督の大八木弘明さん(65)が特別顧問に就く。大八木さんを月に1回もしくは数カ月に1回、チームに招いて講話してもらうことなどを検討している。地域おこしへの取り組みとして、大八木さんの名前を冠したマラソン大会「大八木杯」などの開催も検討している。

 安西さんが来年1月中に会社を設立して代表に就きメンバー30~40人を募集して同4月に始動する。競技性を重視するため、募集の際には選抜を行う。練習は週3回、会津美里町新鶴地区の陸上競技場で行う。

 チーム設立にはさまざまな思いが込められている。一つは一番の目標である選手育成で、地元会津の中学、高校に通いながらでも成長できると示すこと。そしてスポーツやスポーツ指導者に対する価値観の向上だ。クラブの月謝は1万5000円とする予定で、地域のスポーツ少年団と比べると高い印象があるが、ボランティアではなく指導者に正当な報酬が入る仕組みが必要だと安西さんたちは考えている。

 当面は安西さんと角田さんの2人が指導の中心となるが、法令に基づいた教員の兼業が進めば、教員に指導を依頼し指導力や経歴に合った報酬を渡すことができるようにもなる。ただ、現時点では月謝だけでは利益は出ないため安西さんたちはスポンサー企業なども募りたい考えだ。

 安西さんの同級生も来年4月から本格的に参画し、3人でクラブを進めていく。会社とチームの名前は3人で「すみれ」と決めた。道の端に咲くスミレの堅実さ、安西さんの母校駒大のチームカラー、そして角田さんの娘の菫(すみれ)さんが病を患い新しい生活に入ることに重ね「ゼロからの挑戦」という思いが込められた。

 「地元の子を国内トップクラスの水準に引き上げたい」と安西さん。3人は「すみれ」のゼッケンを付けた選手が先頭でフィニッシュテープを切る姿を思い描く。

 問い合わせのメールアドレスはsumire.team@outlook.jp

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