回復力の違い生かす治療

 

 現在の標準的な「がん」治療は、手術・抗がん剤(化学療法)・放射線治療の三つから成り立っています。放射線を当てることによって「がん」を治療するという方法は、手術や抗がん剤と勝るとも劣らない選択肢の一つです。

 放射線による治療は手術と同じく、「がん」とその周辺のみを治療する局所療法と呼ばれます。治療する場所にもよりますが、その場所に数回から数十回に分けて放射線を当てます。治療自体は1日数分、1週間に5日を数週間連続で行うような場合が多いです。

 何回にも分けて放射線を当てるのには訳があります。

 正常な細胞は「がん」細胞より傷の修復力が高いのです。そのため、放射線を当てると正常な細胞はそのダメージから数時間のうちに自力で回復しますが、「がん」細胞は回復が間に合いません。「がん」細胞の回復を待たずに繰り返し放射線を当てることで、正常の細胞を残して「がん」細胞を破壊することができます。このように放射線治療は、正常細胞と「がん」細胞の回復力の違いを生かして行う治療なのです。