原発周辺、厳しい対策基準

 

 今回の原発事故をきっかけに、原子力災害の場合には、市町村や都道府県の境を越えた広域の避難先が前もって決められるようになりました。避難元と避難先の市町村がマッチングされているのです。加えて、避難が大変になり得る老人ホーム同士もマッチングが行われています。

 このような防災対策を考えなければならない範囲は、今回の原発事故後に拡大されました。以前は発電所から半径8~10キロの範囲内とされていましたが、現在の制度では、発電所から半径およそ30キロ以内の市町村で策定されることになっています。

 そして、30キロ内でも、発電所により近い半径5キロ以内の地域では、より厳しい基準が設定されています。30キロ内でも2段階に分けられているのです。簡単にいうと、この2段階の違いは、発電所のより近くでは、発電所が緊急事態となれば避難するのに対し、少し離れた場所では実際に放射線量が高くなれば避難するというものです。

 専門用語で、発電所から半径5キロ以内の地域はPAZ(予防的防護措置を準備する地域)と呼ばれます。その一方、半径5~30キロ以内の地域をUPZ(緊急防護措置を準備する地域)と呼びます。それぞれの市町村が、自身がPAZに位置するかUPZに位置するかで、異なった対策を策定しているのです。