空気中に含まれるラドン

 

 私たちの周りには、さまざまな種類の放射性物質が存在します。これまでもいろいろな名前が登場しました。原発事故に伴って放出され、食品の検査や除染などで主に対象となる「セシウム」、水素の仲間で出す放射線が非常に弱い「トリチウム」、私たちの身体やほとんどの食品に含まれる放射性「カリウム」、魚介類に多く含まれる「ポロニウム」など、たくさんカタカナが並びます。

 空気中に含まれる放射性物質として、重要なのが「ラドン」でした。なぜなら、私たちが天然から受ける放射線の「量」の多くの部分を、このラドンとその周辺の放射性物質が占めるからです。日本だと天然の放射線全体の約4分の1を、世界平均では約半分を占めます。

 「ラドン温泉」という言葉が示すように、温泉地に多い傾向にあります。水にもある程度溶けており、井戸水などの地下水に比較的多い傾向にあります。

 このラドンは、一般的に花こう岩が地下に多い地域では、地下水に高めの濃度で含まれていることが知られています。これは、花こう岩に含まれるウラン鉱物からラドンが出て、地下水に溶け込むためです。ちなみに、阿武隈山地は国内で花こう岩が多く含まれる地域の一つです。