事故要因、井戸汚染なし

 

 私たちの周りには、さまざまな種類の放射性物質が存在します。これまでもいろいろな名前が登場しました。空気中に含まれる放射性物質として、重要なのが「ラドン」でした。なぜなら、私たちが天然から受ける放射線の「量」の多くの部分を、このラドンとその周辺の放射性物質が占めるからです。

 このラドンは、花こう岩が地下に多い地域では、地下水に高めの濃度で含まれています。花こう岩に含まれるウラン鉱物からラドンが出て、井戸水などの地下水に溶け込むためです。

 阿武隈山地は、国内で花こう岩が多く含まれる地域の一つでした。そのため阿武隈山地の井戸水を調べると、場所にもよりますが、ラドンが検出されます。「ラドン温泉」などの温泉水にも含まれます。水に溶けているため、煮沸をするとラドンは数十分の1に減ります。

 その一方、今回の原発事故に伴い、2011年から井戸水のモニタリングは継続して行われています。これまでの調査で、井戸水から放射性セシウムや放射性ヨウ素といった放射性物質は、浜通り、中通り、会津、どこでも一度も検出されていません。地下水なので、そこに放射性物質が到達しないのです。井戸水の汚染はありません。