タンク壊れた場合も想定

 

 廃炉作業が進められている原発周囲に保管されているトリチウムを含む処理水の放出に関して先日、国際原子力機関(IAEA)から、その安全性を評価した報告書が出されました。その報告書では、タンクでの保管や放出に関して、予期せぬ事故が起こった際、周辺の環境への影響や、地域の住民の方々への放射線の影響がどの程度となるかの評価もなされています。

 事故の一つとして、先週ご紹介したパイプ(管)が壊れるよりも、さらに悪いケースも想定されています。

 壊滅的な何かが起こり、処理水を計測し、安全性をチェックするための数十個のタンクの全てが一気に壊れて、処理水が全く希釈されることなく海に放出されるような場合です。おおよそ3万立方メートルほどの処理水が一気に放出されるという想定です。

 パイプが壊れた際と同じく、船の上で仕事をする漁師さんを代表として、放射線に対する防護策を特に何も行わず、取ることが禁止されている地域の海産物も摂取する場合の、事故からおおよそ8日間で受ける放射線の量を計算しています。

 このような事故の場合に受けると推定される放射線の量は、パイプが損傷する場合よりは多く、私たちが自然界から1年間で受ける放射線の量のおおよそ100分の1程度であることが推定されています。8日間で受ける量ですから、1日当たりに平均して考えると、私たちが自然界から受ける放射線の量と同じぐらいの桁の量になり得るという想定です。