汚染水を浄化した処理水

 

 廃炉作業が進められている原発周囲に保管されているトリチウムを含む「処理水」について、国際原子力機関(IAEA)からの報告書を参照し、これまで説明をしてきました。その一方で、「汚染水」という言葉も聞かれると思います。

 つい先日、この「汚染水」と「処理水」を混同して話されている方がおられたので、今さらですが、この二つの違いについて説明しておきたいと思います。

 原発事故のため、放射性物質を含む燃料が溶けてその後固まり、燃料デブリとなりました。この燃料デブリを冷やすために使われた水が、さまざまな種類の放射性物質を含んだ「汚染水」となります。

 加えて、雨水や地下水が事故で壊れた原発の建物の中に入り込み、「汚染水」と混ざり合うことで、新たな「汚染水」が発生します。山側から海側の原発方向に常時流れてくる地下水は、建物内には流れ込みますが、建物内から外に「汚染水」が流れ出さないようにする対策が取られています。

 「処理水」とは、この「汚染水」を、複数の設備で浄化して、放射性物質の濃度を低くした上で、敷地内のタンクに保管している水のことです。セシウムやストロンチウムなど、トリチウム以外の多くの放射性物質全てを規制基準以下まで浄化したものになります。