ベクレルは放射線出す力

 

 前回は、放射線と放射性物質の違いについておさらいしました。

 例として、温かいコーヒーカップを挙げました。そのコーヒーカップは周りに熱を発しながら、徐々に冷えていきます。この場合、コーヒーを放射性物質、周りに発せられる熱を放射線、徐々に冷えていく時間を半減期と例えています。

 今回は、よく出てくる単位のベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)についておさらいです。

 ベクレルは放射線を出す力(単純には放射性物質の量)の単位、シーベルトは人体への影響の大きさの単位です。この二つはその主語が異なることがポイントです。

 ベクレルを使う場合は、必ず「もの」が主語になります。シーベルトは人間のための値なので「ひと」が主語になります。この食品は○ベクレル、この土壌は○ベクレルというのに対して、この食べ物を食べると人への影響は○シーベルト、この空間線量の場所にいると人への影響は○シーベルトとなります。

 処理水の場合も、その水という「もの」の中に、トリチウムが○ベクレル含まれ、それを「ひと」が毎日2リットルずつ飲むようなことがあっても、年間の身体への影響は○ミリシーベルト程度と考えられる、という表現になります。