年間1ミリシーベルト、健康懸念ない

 

 前回は、外部被ばくと内部被ばくの違いをおさらいしました。身体の外に放射性物質があり、そこから出る放射線を受ける場合を外部被ばく、身体の中に放射性物質があり、そこから放射線を受ける場合を内部被ばくというのでした。

 そして、外部被ばくより内部被ばくの方が危ないという表現は正しくありません。放射線の身体への影響はその量の問題なのでした。

 では今回は「基準値」についておさらいです。

 放射線には年間1ミリシーベルトや20ミリシーベルト、食品の1キロ当たり100ベクレルといったさまざまな「基準値」が存在します。処理水も基準をクリアした上で排出とかいった言葉が登場します。

 よく誤解されますが、そもそもこれら基準値は、それを「下回っていれば安全」と「超えてしまうと危険」を分ける、境界となる値ではありません。

 例えば、年間で追加被ばくが「1ミリシーベルト」という値は、がんを含む健康影響を懸念するレベルに比べて、十分に低い値です。もともと自然に存在する放射線からの被ばく量は場所によって異なり、国内でも場所により年間で1ミリシーベルト程度の差(ばらつき)があります。

 食品の基準値も、どんな年齢の方でも十分に安全を見込めるように作られています。乳幼児・小学生・中高生・成人、男・女、妊娠しているかどうか、それぞれの放射線への感受性と食べる総量などを考えて、どの場合であっても年間の被ばく量が1ミリシーベルトを下回るよう作られています。