線量の「追加」調べる検査

 

 前回は、「基準値」についておさらいしました。

 そもそも基準値は、それを「下回っていれば安全」と「超えてしまうと危険」を分ける、境界値ではありません。十分に安全を見込んで作られている数字です。例えば、年間で追加被ばくが「1ミリシーベルト」という値は、がんを含む健康影響を懸念するレベルに比べて、十分に低いです。

 今回は、私たちが行っているさまざまな「検査」は、私たちがこれまで日常的に受けていた放射線に、原発事故のためにどの程度、放射線量の「追加」があったのかを調べている。ということについて、おさらいをしておきましょう。

 内部被ばくを調べるために、食品の検査やホールボディーの検査、土、処理水なども含めた水など、さまざまな物質の検査が行われてきました。外部被ばくであれば、空間線量や、個人線量計(ガラスバッジ)などの検査があったと思います。

 これらは、私たちが「初めて」被ばくしたかどうかを調べる検査ではありません。元々、私たちは日常生活を送る上で、空気中に含まれる放射性ラドンを吸い、食物に含まれる放射性カリウムを食べることで内部被ばくを、宇宙および土壌から発せられる放射線によって外部被ばくをしています。そしてこの量は、場所によって異なり、一定ではありませんでした。

 このように、さまざまな検査は、元々私たちが日常生活で受けていた被ばく分に加えて、原発事故でばらまかれてしまった放射性物質によって、どの程度被ばくが増えてしまっているかを調べています。