年間で合計1ミリシーベルト以下に

 

 前回は、放射線に関するさまざまな検査が、今まで被ばくした量全てを計測できるものではなく、「今どうなのか」を知るための検査であることをおさらいしました。

 今回は、セシウムやカリウム、ストロンチウム、トリチウムなど、さまざまな放射性物質がある中で、それぞれの影響をどう考えているかについておさらいします。

 例えば、食品の基準値はセシウムで1キロ当たり100ベクレルと設定されています。この基準値は、ストロンチウムなど、他の放射性物質の影響を考えないということではありません。現在に存在している放射性物質のうち、われわれの身体に入ってしまうかもしれない放射性物質の圧倒的大部分はセシウムですが、他の放射性物質に関しては、セシウムに比べてどの程度の「割合」で存在するかが分かっています。

 このセシウムの食品基準値は、その割合を用いて他の放射性物質の影響も計算し、セシウム以外の放射性物質をひっくるめても、年間で人体への影響が1ミリシーベルト以下になるように設定されています。

 処理水に関しては、トリチウム以外のいくつかの放射性物質がごく微量に計測されたとして、その処理水をたとえ毎日飲むようなことがあったとしても、それらの全ての放射性物質による影響が年間で「合計で」1ミリシーベルト以下となるように管理されています。

 このように、一つの放射性物質だけではなく、他の微量に含まれているかもしれない放射性物質も加味して、影響の合計が小さくなるように基準の設定や管理がなされているのです。