半減期の長さ物質で違い

 

 前回は、食品などの基準値が、一つの放射性物質だけではなく、他の微量に含まれているかもしれない放射性物質も加味して、影響の「合計」が小さくなるように設定や管理がなされていることをおさらいしました。

 今回は半減期について触れたいと思います。全ての物質は目に見えない小さな「陽子・中性子・電子」の粒がそれぞれ何個かずつ集まってできています。これらの個数のバランスが悪いとその物質は不安定になり、これを放射性物質と呼びました。放射性物質は、放射線を外に出しながら、徐々に安定な物質へと変わっていきます。

 この過程で、放射性物質から放射線を出す能力が半分になるまでの時間のことを半減期というのでした。すると、半減期の短いものに比べて、長いものの方が身体に良くない。という表現は正しいでしょうか。半減期が長いと、より長時間、放射線をだらだらと浴び続けることなります。

 答えは、半減期が長いか短いか、だけではどちらが身体に良くないかの判断はできません。結局のところ放射線の影響はその量の問題です。だらだらと長時間でも、時間当たりの被ばくが小さければ、トータルの影響は小さく、逆に短時間でも時間当たりの被ばくが大きければ、トータルの影響は大きくなります。放射性物質によって、それぞれの化学的な性質は異なり、身体のどの臓器にたまりやすいかも異なります。

 ちなみに、セシウム137の半減期は約30年、トリチウムは約12年、私たちの身体にもともと含まれる放射性炭素と、放射性カリウムはそれぞれ、半減期5730年と約13億年です。