支持動向が複雑化、票上積みにしのぎ 広野町長選・終盤の情勢

 

 任期満了に伴う広野町長選は19日の投開票に向け終盤戦に入り、届け出順にいずれも無所属で、新人で元県職員の岡田秀平候補(68)、新人で元副町長の黒田耕喜候補(65)、現職の遠藤智候補(56)=1期=が激しい選挙戦を展開している。原発事故による一時避難から8割の住民が帰還した中、医療や福祉、教育、子育て支援など生活環境の向上や復興を着実に進めるためのまちづくりを争点に、3陣営が票の上積みに向けてしのぎを削っている。

 岡田候補は、JR広野駅を中心とした駅前商店街の再生に力を入れると主張。医師確保による医療環境の改善や教育改革を訴える。

 黒田候補は、町民目線の政治を前面に打ち出す。42年の行政経験を生かし農業施策の強化や医療環境、高齢者福祉の充実を掲げる。

 遠藤候補は、国や県との連携を強めた実績をアピール。町政の継続により生活再建や医療、福祉を拡充し復興の加速化を強調する。

 戦いの構図は黒田、遠藤両陣営に町議10人の支援が二分、岡田陣営が割って入る形となり、地縁や血縁も絡んで支持動向が複雑化している。各陣営は町内一円を遊説しながら住宅地で街頭演説を重ね、支持獲得を目指し動きを強めている。

 3陣営ともに「町民の関心は高い」として投票率を前回(81.19%)並みの80~85%と予想。当選ラインを岡田陣営は千票台後半、黒田、遠藤両陣営は2千票前後とみて、最終盤にかけ票の掘り起こしに躍起だ。