喜多方市長に新人・遠藤忠一氏 菅野氏破り『新人対決』に勝利

 
一騎打ちを制し、喜ぶ遠藤氏(右)。左は妻の孝子さん=28日、喜多方市押切南

 任期満了に伴う喜多方市長選の投開票が28日行われ、無所属の新人で元県議の遠藤忠一氏(70)が、無所属の新人で元市部長の菅野康裕氏(62)を2515票差で破り、初当選を果たした。

 旧5市町村が合併した2006(平成18)年以降で4度目の市長選。市人口は合併時から約8000人減り4万8000人を割っており、両候補が子育て支援や雇用確保などの人口減少対策を中心に舌戦を展開した。

 2氏とも現市政の流れを引き継ぐ考えを示すなど明確な争点がない中、有権者は元県議会議長として国や県とのパイプを訴えた遠藤氏に市政運営を託した。

 任期は2月12日から4年。投票率は56.21%で、前回を3.28ポイント上回った。

 国や県の人脈前面に

 県政を長年リードしてきた重鎮か、市幹部を務めた政策通か。告示まで2週間で新人同士の一騎打ちとなった短期決戦は、国や県との人脈をアピールした元県議会議長の遠藤忠一氏(70)が競り勝った。

 喜多方市長選は昨年末まで無投票が濃厚だった。地元政財界から請われる形で先に立候補を表明していた遠藤氏は、無投票ムードから一転した状況に苦しみながらも組織引き締めに奔走した。県議6期のうち無投票が5回続いたため23年ぶりの選挙戦。自民、公明系市議の支援を受け、県議時代に築いた有権者との信頼関係を票に結び付けた。

 課題は合併後12年間で約8000人減少した人口対策。両候補とも若者定着につなげる子育て環境整備や雇用確保を訴える中、遠藤氏に対し「国や県から予算を引き出し、公約を実現してほしい」と期待が膨らんだ。

 菅野康裕氏(62)は草の根運動で猛烈な追い上げを見せた。告示2週間前の出馬表明で短期決戦に持ち込んだが、一歩及ばなかった。

 選挙戦を通じて双方の熱意が有権者に伝わり、市政への関心は日に日に高まった。遠藤氏がスローガンに掲げた「わくわくする」まちづくりをどう進めるか。手腕に注目が集まる。

◇喜多方市長選開票結果(選管最終、敬称略)
当12,611 遠藤忠一 70 無新
 10,096 菅野康裕 62 無新