現職・遠藤智氏が無投票で3選 広野町長選、防災に強いまちへ

 
3選を果たし万歳する遠藤氏(中央)。右は妻浩美さん

 任期満了に伴う広野町長選が16日告示され、無所属で現職の遠藤智氏(60)=2期=のほかに立候補の届け出はなく、遠藤氏が無投票で3選を果たした。町長選が無投票となるのは2009(平成21)年以来12年ぶり。

 遠藤氏は、町内の医療機関や社会福祉協議会との連携強化による医療と福祉充実などに取り組んできた。3期目は若い世代を対象とした移住・定住の促進や、AI(人工知能)を活用した浸水被害予測など災害に強いまちづくりを進める。

 当選証書付与式は22日午前9時から町役場で行われる。任期は12月9日から4年。

 医療や帰還で実行力

 【無投票の軌跡】震災後3度目の広野町長選は、医療や福祉、教育の充実に取り組み、9割超の住民の帰還に結び付けた現職遠藤智氏(60)の実行力が有権者の信任を得た。

 遠藤氏は7月に出馬を表明し、選挙戦を見据えて組織体制の構築を進めてきた。道の駅登録を目指す施設の整備計画を巡り、一部町議から、造成工事に巨額の予算を投じながら計画を凍結した経緯に対し遠藤氏の責任を追及する声が上がったが、対抗馬擁立の動きは表面化しなかった。

 住民の帰還は進むが、震災前約2割だった65歳以上の割合は3割を超えた。遠藤氏は移住の促進を3期目の施策の柱に掲げるが、町内には多くの復興関連作業員が滞在し、住居の確保など課題は多い。若い世代の関心を引き寄せるまちづくりを含め、手腕が問われる。(ふたば支局・辺見祐介)