中間貯蔵施設設置、なぜ進まない 政府の説明不足を指摘

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 東京電力福島第1原発事故に伴う除染などで生じた大量の汚染土壌などを30年間限定で保存する中間貯蔵施設は、2015(平成27)年1月の利用開始に向け、施設の安全対策の検討など具体的な動きがようやく見え始めた。しかし、肝心の地権者をはじめ地元の理解は一向に進まず、工程の遅れは必至。一方、安全対策では汚染土壌の搬送ルートの確保など沿線住民の理解が求められる新たな課題も浮上してきた。環境省を中心とした地元協議の姿勢に各方面から疑問符が付く中で、安倍政権の真価が問われている。

 "地元の声聞く姿勢を" 関係者に募る不信

 中間貯蔵施設を双葉郡内に設置しようとする政府計画は、なぜ進まないのか。

 原発事故で古里を追われ、長期の避難生活の中で先祖伝来の土地の扱いを思い悩む調査地点の地権者は少なくないとみられている。一方、帰還に一筋の望みをつなぐ周辺住民の目には施設が「迷惑施設」と映る。土地の返還をめぐっても、30年後にどんな形で戻るのか、あるいは政府による用地買収で生活再建に補償が回せないのか、政府方針が明示されないため関係者の不信が募ったという見方が地元に共通した反応だ。

 建設が計画される双葉町は、施設への対応をめぐる議論を機に町議会と対立した前町長が辞職。政府との協議へ、かじを切った伊沢史朗町長は現在の停滞について「環境省は施設の調査と建設は別物だという姿勢を徹底すべきだった」と指摘する。「事前調査の説明会では、調査だけだと言いながら建設したいという思惑が見え隠れし、それを町民が感じ取ったのだと思う」。地元説明に必要な「丁寧さ」が、環境省に欠けていたという見方だ。

 ほかの町からも一様に、政府側の説明不足が指摘される。大熊町の担当者は「単なる公共事業ではなく大きなプロジェクト。環境や住民の暮らしはどうなるのか政府としてしっかりと考え、示すべき」、楢葉町の担当者は「まだまだ町や町民に対して説明不足。国は具体的なイメージ、説明できる資料を整理して示すべき」と話す。

 最前線を担う環境省と地元との溝が、さらに深まりかねない事態も表面化した。福島市で8月11日に開かれた福島復興再生協議会で石原伸晃環境相が施設について「県をはじめ皆さんが、福島県のために自ら行動するという認識を持ってもらうことが重要だ」と発言。関係首長をはじめ県内政界、地元住民らから一斉に反発の声が上がった。

 石原氏に対しては、自民党幹事長時代からの問題発言の記憶が消えない中で地元住民の信頼が深まるわけもない。地元協議で最も重要な首長とのパイプ作りは、井上信治環境副大臣が一人で背負った形だ。

 根本匠復興相は8月30日、政府の中間貯蔵施設福島現地推進本部を4日に設置すると発表。復興、環境両相が本部長を務める。これまでも統合組織による省庁横断を試みて壁にぶつかってきた政府には組織以上に、地元の声に真剣に応える姿勢が求められている。