厳しい"ブランド回復" 風評被害払拭への長い道のり続く

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厳しい

見せる課が企画したバスツアーでナシ畑を訪れた参加者ら=8月

 東京電力福島第1原発事故以降、風評被害がさまざまな分野に深い影響を及ぼしている。放射性物質の検査体制の確立、正確な情報に基づく安全・安心を周知させる取り組み、国内外からの本県への支援などが実を結び、一部に改善の動きが見られるが、汚染水漏えいなど次々と発覚する同原発の問題が新たに暗い影を落とす。県内外での支援イベントなどの効果も一時的との指摘がある。風評被害払拭(ふっしょく)への厳しく長い道のりは続く。

 いわき市「見せる課」、食と観光しっかりPR

 いわき市役所4階に透明な課名札が掲げられ、「見せます!いわき情報局見せる課」がある。農林水産業や観光業の風評被害払拭(ふっしょく)を担う、担当課を横断して発足したプロジェクトチームだ。

 同課は「消費者自身が安全・安心を判断するための材料を提供する」ことに徹し、農作物、土壌、水などの放射性物質の検査、生産者の姿勢や思いを消費者に伝えることに力を入れる。

 大手広告代理店とタッグを組み、新聞折り込みやラジオ、テレビコマーシャル、首都圏でのイベントなどを展開。首都圏などの消費者を市内に招き、安全・安心の確保に向けた市の取り組みを紹介するバスツアーなども行っている。ツアーでは生産農家の現状や食品検査の様子を見学。これまで14回開催し、延べ412人が参加した。

 このほか首都圏の量販店とのタイアップで農産物を販売、首都圏の量販店2社の35店舗に「見せます!いわき」のロゴが入った販売コーナーが設けられた。

 同課が進める「いわき見える化プロジェクト」は3年目の取り組みとして「だから、私は、いわき野菜。」をキーワードに掲げた。これまでの取り組みに加え、いわき産野菜の「おいしさ」を発信する。こうした地道な取り組みで少しずつ風評被害が和らいでいる一方、まだ市場の見方に厳しい面が残るのも事実だという。

 同課の西丸巧課長は「いわき産と他県産が並ぶと、いわき産が避けられることがある。流通関係者や消費者の理解がほしい。早く対等な立場で闘いたい」と話した。

 会津の野菜、おいしさ前面に商談

 会津地域の市町村とイオングループなどが連携し、全国のイオンで1月から巡回開催している「桜咲く!会津フェスタ2013」。名古屋市のイオン熱田店では8月24日に開かれ、売り場に会津産の農産物が並んだ。担当の会津若松市商工課副主幹の吉川信さんは「トマトなどが好評だった」と振り返る。

 現場で消費者と接触する機会が多い吉川さん。「会津の状況を分かってもらえるようになった」と同フェスタに手応えを感じ、「風評が落ち着きつつある」との見方を示す。7月に京都市で開いたフェスタでも1パック198円のミニトマトが3日間で441パックを販売。このほかの農産物も、仕入れた約8割を売りさばいたという。

 売る側からは依然としてモニタリングの結果添付を求められ、特にこれまで取引のない新たな商品には慎重な姿勢を示される。しかし、「安全」ではなく「おいしさ」を前面に出して商談ができるほど、状況は前進しているという。

 吉川さんは「(大河ドラマの)八重の桜の効果が大きい。ドラマが風評を吹き飛ばしてくれた」と話す。フェスタを訪れる買い物客から多く出る言葉は「大河見てますよ」。一方で、震災や原発事故が語られることはほとんどなくなった。風評払拭(ふっしょく)と同時に、震災や原発事故が風化しつつある現状に複雑な表情を見せた。