【詩人・和合さん】 3年で熟成された思いを聞き、伝えたい

 

震災、原発事故に見舞われた怒りや苦しみ、古里再生など福島への思いを群読した和合さん=1月

 復興に向かう「福島の今」を県内外にアピールしようと、さまざまな人たちが文化活動や観光誘客などを通じて、情報を発信し続けている。東日本大震災や東京電力福島第1原発事故から3年の節目を迎えたが、復興にはまだまだ時間がかかる。それに目を背けることなく、一緒に復興に向けて彼、彼女らと歩み続けることが県民にも求められる。

 

 古里再生へ願いをストレートに表現 

 「自分たちのやってきたことが必ず次の世代に受け継がれ、さらなる一歩がそこに重なれば、福島が通るべき道も見えてくるのではないか」。震災と原発事故で苦しむ県民の姿や心情、古里再生への願いをストレートに表現、時には涙ながらに情感豊かに朗読する詩は福島の復興を後押しする。

 福島市の詩人和合亮一さん(45)は震災と原発事故以降、県内外に「福島からのメッセージ」を発信し続けている。1月には総勢約150人による群読と合唱の舞台「ふくしま未来交響曲」で被災の苦しみや復興への思いを表現した。「『声を上げる文化』を自分たちで創れるんだと、意識が変わったように感じる」と振り返る。

 この1年間は講演依頼が増え、毎週のように県内外に赴いた。涙を流しながら聞き入る人もいて「福島を思ってくれている人がたくさんいる」と実感した。

 一方、各地に避難する県民の生の声を聞き、孤独感やストレスを抱えている現状も知った。震災4年目は子どもたちの言葉に耳を傾けたいという。「震災時はうまく言葉にできなくても、3年が経過して心の中で熟成された思いを聞き、多くの人に伝えたい」と語る。

 舞台も毎年続けるつもりだ。「福島で創れるものを創りたい。他の場所でも上演されるようになれば、福島を思うきっかけ、風化と向き合うことになる」。言葉を紡ぎ続けることで、人と人の思いもつないでいく。