地方自治総研主任研究員・今井照氏に聞く 使命感抱き高い志持つ 

 
「高い志を持っているのはメリットだ」と話す今井氏

 地方自治総合研究所が関わり、双葉郡8町村と南相馬市、飯舘村を対象に昨年度実施した調査では、市町村の正職員の42.7%が震災後に採用されており、その多くが各市町村の外に出身地がある人たちだ。

 民間企業の人手不足などが影響して全国的に公務員応募者が減少傾向にあることや、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故がなければ地元の役場に就職したであろう若い世代が原発事故に伴い避難したこと、応募が少ないために市町村が地元外の人材を求めるようになったことが要因として考えられる。

 一般的に、さまざまな地域で育った人が市町村職員として集まるのは地域の活性化につながる。だが、今回は意図してそうなったわけではなく、震災と原発事故の結果としてそうなってしまった。震災前のまちを知らない職員が増え、住民も役場と距離を感じてしまいがちだ。一方で、震災を受け使命感を抱いて職員になった人は多く、高い志を持っていることは市町村にとっても住民にとってもメリットだといえる。