「小学校」存続へ正念場 川俣・山木屋、粘り強く郷土愛育む授業

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 東京電力福島第1原発事故の避難指示が解除された川俣町山木屋地区の山木屋小中一貫教育校で、来春に小学校に入学、転入してくる児童がおらず、5人いる6年生が卒業すると、児童数がゼロとなり、小学校が休校となる可能性も出てきた。学校は今春に再開したばかり。川俣町山木屋に限らず、避難指示が解除された学校では児童数減少の事態に直面している。

 山木屋小中一貫教育校は小学生5人、中学生10人で再開した。「同級生がいないということは学校で友達ができないということ」。一貫校ではなく、町内の別の小学校に子どもを入学させる予定という子どもの父親はこう話した。決め手は友人関係で身に付く「社交性」。「同世代の子どもと多く触れ合う機会がないのは...」。父親の言葉に少人数教育が抱えるマイナスの部分への不安がにじむ。

 男性の子どもは自閉症スペクトラム障害と診断され、療育が必要という。母親は「授業内容は素晴らしいと思ったが、障害のある子どもへの対応がはっきりしなかった」と打ち明けた。

 一貫校は山木屋小を改修して開校した。教科担任制の導入やテレビ授業による外部との交流など特色ある少人数教育を教育の柱に据える。郷土愛を育むために授業で地域住民と交流する時間を設けるなど「山木屋でしか受けられない教育」(町教委)が特徴だ。

 昨年、町教委の担当者が戸別訪問して保護者に説明。就学意向調査では当時、町内に間借りしていた小、中学校に通っている児童、生徒の約7割が一貫校に通学を希望したという。ただ、当時から5年生以下の通学希望者がおらず、町教委は「厳しい状況だ」と本音を漏らしていた。

 学校再開から半年。一貫校では、グラウンドゴルフや山木屋太鼓の体験など、児童が地元住民と交流したり、文化に触れたりする時間を確保するなど独自の授業を展開してきた。しかし、入学前の子どもが対象の就学時健康診断について本来一貫校で受診する2人は別の学校での受診を選択。転入について問い合わせはあったものの決定には至っておらず、現時点で来春の児童数見込みはゼロ。このままいけば休校を余儀なくされる。

 佐久間裕晴町教育長は「いずれ(山木屋で)教育を受けさせたい保護者や子どもが出てくるように長い期間で良さを発信するしかない」と強調する。復興の灯である学校の存続が正念場を迎えている。

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