「幼少期の運動」重要性は? 0~4歳ごろ運動能力ある程度形成

 
「幼少期から体を動かす楽しさを味わえる環境づくりが必要」と話す菊池医師

 東日本大震災から9年を迎える中、課題となっている本県の子どもの体力や運動能力。子どもの健康について研究を続けてきた小児科医の菊池信太郎さん(郡山市・菊池医院長)に、幼少期に運動することの重要性などを聞いた。

 丈夫な体へ何が必要か見直して

 ―子どもの運動不足にはどのような影響があるのか。
 「子どもの体力や運動能力は、0~4歳ごろである程度形作られる。運動する習慣がつくられないと、大人になっても運動意欲が出なくなる可能性があり、将来的に生活習慣病や肥満の増加も心配される」

 ―子どもが体を動かすことのメリットは。
 「〈1〉身のこなしが上手になり、けがをしにくくなる〈2〉体力がつく〈3〉運動することで骨が強くなる〈4〉コミュニケーションが生まれ、心の成長にもつながる―といった発達に重要な要素が培われる」

 ―今後の課題は。
 「遊びの手段が限られていた時代は、放っておくと子どもは外で遊んだが、今はゲームやスマートフォンが選ばれてしまう。幼少期から体を使って遊ぶ楽しさを味わえる環境づくりが必要だ。社会として、子どもの丈夫な体づくりには何が必要か見直す必要がある」

 ―地域にできることは。
 「子どもは、用意された環境でしか育たない。子どもたちが楽しみながら、思い切り体を動かせる場所が必要だ。子どもの体力低下は全国的な課題だが、震災後に一度大きく落ち込んだ本県で、より鮮明になっている。全国では気付かれていないからこそ、本県から変えていかなければならない」