やる気アップ!運動を習慣に 遊び感覚で体力向上...『わくわく』

 
鈴木さんの指導を受けながら、ISAAの出前講座で運動を楽しむ子どもたち

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から9年となる中、本県の課題の一つになっている県民の健康。特に幼少期に一時、外遊びが制限された子どもたちは改善の兆しはあるものの、体力や運動能力の低下、肥満が懸念されてきた。子どもたちに楽しみながら体を動かしてもらおうと各地でさまざまな取り組みが進められている。

 「体力向上」楽しく挑戦 いわきスポーツク出前講座

 サッカーのいわきFCを運営するいわきスポーツクラブは2017(平成29年)から、いわき市のいわきFCフィールドを拠点に子どもの運動能力を育てる「いわきスポーツアスレチックアカデミー(ISAA)」を展開している。担当する鈴木秀紀さん(29)は「まずは運動の楽しさを知ってもらうこと。子どもの健康課題を解決したい」と話す。

 ISAAは、投げる、走るなど総合的な運動に取り組むプログラム。子どもの運動能力低下や肥満傾向が続く本県、浜通りの課題に合った取り組みとして、楽しみながらの能力向上を掲げる。

 市内での出前講座のほか、将来的にはチームのホームタウンとなった双葉郡や県内全域への拡大も検討している。「最初はすぐに『疲れた』と言っていた子どもも、徐々に『運動が楽しい』と言うようになった」と鈴木さん。本県の健康問題を、若い世代から改善しようと熱意を燃やす。

 「頑張りカード」最後は金メダル 若松・河東学園小

 子どもたちの体力向上の取り組みで特色ある学校を表彰する県教委の本年度「ふくしまっ子元気大賞」を受賞した会津若松市の河東学園小。校庭では毎朝、児童がマラソンや鉄棒に励んでいる。

 同校では、グラウンドを走った回数や習得した鉄棒の技を記録する「頑張りカード」を作製。「最後まで頑張り抜いた人は金メダル」を合言葉に、児童の挑戦しようとする気持ちを引き出している。同校は旧河東町のほぼ全域を校区とし、全校生の3割余りがバスで通学している。それだけに、体力づくりは大きな課題だ。

 「鉄棒のここを握るとうまくいくよ」「足をこう上げるといいよ」。児童が自主的に取り組む中、互いにアドバイスし、励まし合う姿が生まれている。

 渡部仁一校長は「勉強するにも、友達と仲良くなるにも、その土台は『元気』にある。苦手なことを避けない、頑張りの力を育てたい」と話す。