双葉郡内「医療機関」再開37.5% 医療従事者確保が最大の課題

 

 県によると、双葉郡内には原発事故前の2011年3月時点で病院、診療所、歯科診療所、薬局が合わせて105カ所あった。だが、原発事故で医師や看護師ら医療従事者も郡外に流出し、多くの医療機関が休止を余儀なくされた。

 避難指示解除に伴い地域の復興が進むにつれて、郡内では既存の医療機関が再開したり、自治体が公立の診療所を新設したりして、診療に当たる医療機関が徐々に増えてきた。8町村の中でいち早く帰還が始まった広野町では震災前と同様に民間が地域医療の中心を担う。川内、葛尾両村は村立の診療所を再開し、大熊、双葉、浪江、富岡の4町は帰還に向け、それぞれ町立の診療所を新たに整備した。

 ただ、郡内で診療しているのは32カ所(今年4月時点)で、医療機関の再開率(薬局を除く)は37.5%にとどまっている。再開した23の医療機関(企業内診療所、特別養護老人ホーム、保健センターなどを除く)は内科や整形外科、歯科など延べ19診療科を掲げるものの、泌尿器科や耳鼻咽喉科、皮膚科、産婦人科、人工透析に対応する医療機関がないのが現状だ。担い手となる医療従事者の確保が最大の課題となっている。

 ふたば医療センター、今後の取り扱い注目

 県立大野病院の休止が続く中、県は2016年1月末、楢葉町にふたば復興診療所(ふたばリカーレ)を開設した。その後、近接地には民間の蒲生歯科医院が移転したほか、公設民営のならは薬局も開局し、医療環境が向上した。

 一方、地域の課題だった2次救急医療を受け入れるため、県は18年4月、福島医大と連携し、富岡町にふたば医療センター付属病院を開院した。JA福島厚生連も医療従事者の確保に協力し、24時間365日対応できる体制が一定程度は整った。大野病院の後継病院開設後、ふたば医療センター付属病院の取り扱いをどうするかが注目される