狭く蒸し暑い内部...過酷な作業 2号機と同型、5号機格納容器

 
5号機の格納容器内部。制御棒の駆動装置が碁盤の目のように規則正しく並ぶ

 厳重な持ち物検査を済ませた後、防護服に身を包み、運転停止中の東京電力福島第1原発5号機の格納容器内部に入った。5号機は、原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しを控える2号機と同型機。内部は狭い上に機材や配管が多く、構造は複雑だ。2号機の廃炉作業が困難だということは容易に想像できた。

 5号機の格納容器内は暗く静かで、金属の構造物が狭い通路に迫り、ぶつからないように黄色と黒のテープが貼られていた。「ペデスタル」と呼ばれる圧力容器を支える土台の開口部をしゃがみながら通り、圧力容器の真下の空間に進んだ。

 空間は直径5メートルほどの円形で、頭上には燃料棒の出力調整などを行う制御棒の駆動装置が碁盤の目のように規則正しく並び、時折ヘルメットにぶつかるほど狭く、圧迫感がある。足元は金属の網が敷かれている。放射線量は毎時97マイクロシーベルトを指した。狭さや高線量への不安に加え、防護服による蒸し暑さでゴーグルは曇り、息苦しさすら覚える。「早く出たい」と感じた。

 5号機は運転時、約78万キロワットを発電していた。こんなにコンパクトな空間で大きなエネルギーを生み出せるのか。原子力の強大なエネルギーを実感した。

 第1原発の構内では約4千人の作業員が危険と隣り合わせの仕事に汗を流す。廃炉作業が困難を極める中で、東京電力には安全の徹底とともにスピード感が求められる。担当者は「安全最優先で何でも後ろ倒しがいいわけではない。安全性と工程の進み具合を見ていきたい」と話した。

 敷地海側では、日本海溝地震による津波を想定した海抜16メートル(最大)の防潮堤の工事がほぼ完成していた。「13年前に造っていれば」。変わり果てた原発建屋を見て、そう思わずにはいられなかった。(相双支社・佐藤健太)