「ニーズに全て応えていく」 ふたば医療センター付属病院

 
多職種カンファレンスに臨む谷川院長(右から2人目)ら病院スタッフ。「ニーズに応じて機能強化していかないといけない」と課題を挙げる=県ふたば医療センター付属病院

 「ぐらぐらしますか?」「ゆっくりしていただいて大丈夫ですよ」―。双葉郡の2次救急医療の拠点として開設された県ふたば医療センター付属病院。2月下旬、医師や看護師が、めまいを起こして搬送されてきた患者の診察に当たった。365日24時間体制で救急医療を受け付けており、谷川攻一院長(66)は「救急に加え、診療所や介護施設からの依頼など、求められるニーズ全てに応えていく」と語る。

 病院は2018年4月に誕生して以来、双葉郡の救急医療を支えてきた。常勤の医師に加え、福島医大の医師が入れ替わりで勤務しており、平日は6人で対応する。病床は30床を備え、現在は3分の1ほどが高齢者を中心に利用されている。

 朝は夜勤の引き継ぎやその日の行事などを確認する「多職種カンファレンス」から始まる。昨晩の入院患者の様子やその日患者に必要な検査などをスタッフで入念に確認し合う。

 医師は専門領域外の診断をする機会も多く、内視鏡手術など専門の治療が必要になった場合は他の病院に依頼する。そのため「ここでは専門的検査が必要かどうか見極める技能が必要になる」と谷川院長は強調する。

 開設から6年がたち、外来の患者数は18年度の2752人から22年度には4475人に増えた。救急搬送は22年度695人で、双葉地方消防本部が管内に搬送した人のうち93.8%は県ふたば医療センター付属病院に運ばれた。谷川院長も「住民が増えてきている中、救急医療に貢献できている」と実感している。

 病院の診療科は救急科と内科のみ。地域には復興関連の作業従事者や高齢者が多いことから、谷川院長は「整形や循環器など一般的な手術ができるように整備していかなければならない」と指摘。さらに「今後若い世代が増えてきた時に『小児科はどうするのか』などと考えなくてはならない」と将来を見据える。郡内での医療需要の変化にも対応が必要だ。(郡山総支社・津村謡)