大野病院後継に期待...2029年度以降に開院予定

 
後継医療機関の開院に向け解体される県立大野病院

 県は、双葉郡の医療体制を強化するための中核的医療機関として、東京電力福島第1原発事故後に休止している県立大野病院(大熊町)の後継医療機関を2029年度以降に開院する方向性をまとめた基本構想を昨年11月、策定した。郡内の医療提供体制で課題となっている産婦人科や人工透析などの診療科の開設も想定されており、開院に期待が寄せられている。

後継医療機関の建設予定地

 診療科の想定は【表】の通り。郡内の受療動向や地元からの要望を反映させ、20科目の診療を実施する予定。周産期や小児、精神医療といった診療科は、いわき市や相馬地方などの専門拠点医療機関と連携し、最適な診療体制の確保を図る。

想定診療科

 病床数は開院時が100床前後とし、復興状況や人口を考慮して大野病院(150床)を上回る250床程度まで段階的に増やす考え。一般病床に加え、感染症患者に対応する病床も設ける方針だ。

 新たな医療機関について、大熊町のJR大野駅近くにある現在の大野病院の建物を解体し、現地に建て替える。常磐道大熊インターチェンジ(IC)と大野駅に近く、交通の利便性が高いことなどを踏まえて決めた。

 県は新年度、病院の具体的機能や必要な人員規模などを盛り込んだ基本計画を策定する。現在の大野病院の建物の解体は24~25年度に計画されている。

 双葉地方町村会は1月、新たな医療機関の開院時期を前倒しするよう、県に求めた。要望に際し、住民帰還や移住・定住の推進などに向けて後継医療機関の整備が喫緊の課題と強調し、2、3年程度の前倒しを求めた。