福島県の外国人宿泊数、過去最多に いわきへの教育旅行も回復

 

 美しい自然や歴史文化に恵まれた本県では、観光も重要産業の一つ。原発事故に伴う風評被害などで観光客数は大きく減少したが、その後回復基調が続き、新型コロナウイルス禍でいったん落ち込んだものの現在は再び増加に転じている。

 県によると本県の観光客数は震災と原発事故直前の2010年は5717万9000人。その後徐々に回復、コロナ禍の20年は3619万1000人、21年は3545万4000人と、11年程度まで落ち込んだが、22年は4768万7000人に回復した。県内で最も多くの観光客が訪れたのは磐梯高原(裏磐梯、北塩原村)の162万160人だった。

 観光客数の回復基調を後押ししているのは、インバウンド(訪日客)の存在だ。観光庁が2月29日に公表した23年の宿泊旅行統計調査(従業員10人以上の宿泊施設が対象)によると、県内を訪れた外国人宿泊者数は延べ18万6160人泊に上り、過去最多となった。

 昨年の外国人宿泊者数を国・地域別に見ると、台湾が9万1530人泊で全体の49%を占めた。次いでタイが1万9220人泊、中国が1万4760人泊、米国が6640人泊などだった。台湾からの来県が約半数を占めていることから、県は福島空港との直行便の運航継続が決まった台湾を軸に、さらなる誘客に取り組みたい考えだ。

 一方、県内各地を子どもたちなどが訪れる教育旅行の延べ宿泊者数は、震災前までは約8000校、70万人泊前後で推移していたが、11年度には約2000校、約13万人泊まで減少。22年度はコロナ禍を経て5065校、37万7676人泊まで回復した。

 22年度の教育旅行延べ宿泊者数を地域別に見ると、震災と原発事故で最も大きな影響を受けた相双地域は、本県独自の「ホープツーリズム」の積極的な誘致により前年度比約260%の2万4359人泊まで伸びたが、震災前の比較では約4割にとどまっている。いわき市は3万3596人泊となり、県内地域で唯一、震災前の水準を超えた。

観光客のデータ