委託研究高まる意欲 福島大「福島の農業豊かに。良い成果を」

 
福島大食農学類の研究室で二瓶教授は「福島の農業を豊かにしたい」と話す=福島市

 福島大食農学類の研究室を訪ねると、エフレイの委託研究として農業分野の研究が始まっていた。研究するのは二瓶直登教授(52)を代表とし、福島大や京都大、理化学研究所などでつくる共同事業体。

 落ち葉などに含まれる「低分子有機物」を活用した環境に優しい農法の可能性を探っている。現在は研究室での取り組みが中心だが、今後は浜通りにある農場にも足を運び、実証実験などを通じて研究を進めていく予定だ。

 研究目的の一つが、東京電力福島第1原発事故で影響を受けた県内農業の復興。「浜通りの農家の顔が浮かんできますね。福島の農業を豊かにしたい」。こう話す二瓶教授は、県内の農家と関わりを持つ県農業総合センター(郡山市)で勤務した経験があり、浜通り再生に対する思いの強さが言葉からうかがえた。

 原発事故後に行われた除染では、浜通りの農地を中心に栄養分が豊富な表土が剥ぎ取られ、痩せた土壌の再生が課題に挙げられるようになった。「土壌環境の改善に効果があるかもしれない」。二瓶教授は、発酵が十分に進む前の落ち葉や牛ふんなどに含まれる低分子有機物に着目。土壌改善への効果、生産量にもたらす影響などを調べている。

 エフレイの委託研究は、研究者の意欲向上にもつながっている。「もっと大きな規模で研究を進めたい」。そう考えていた二瓶教授はエフレイに温めていた企画を提案。昨年12月に受託が決まり、エフレイからの研究費をフル活用し、7年計画で成果を出そうとしている。

 二瓶教授は「他の委託研究と協力することで、より良い成果が出ればうれしい」とも語り、複数ある委託研究同士で連携することによる相乗効果も期待する。「創造的復興の中核拠点」を掲げるエフレイ。復興に貢献しようとする研究者の熱い思いを感じながら、研究成果が本県を明るく照らす日を待ち遠しく思った。(若松支社・八巻雪乃)