【 三島町・早戸温泉 】 只見川渓谷『四季の絶景』 自慢の温泉効能

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四季折々の只見川渓谷の風景を楽しめる露天風呂

 奥会津の只見川沿いの絶景はいつ見ても息をのむ美しさだが、紅葉の季節はそれが一層際立つ。温泉につかりながら、絶景を心ゆくまで堪能する―。三島町の早戸温泉 つるの湯は、そんなぜいたくが楽しめる知る人ぞ知る名湯だ。

 JR只見線早戸駅から会津若松市方面へ徒歩で数分。国道252号から只見川の方へ坂道を下りていくと、その温泉は見えてくる。

 名物は、何と言っても男女それぞれある露天風呂。紅葉だけでなく、新緑や雪景色など、季節ならではの風景が湯治客を迎えてくれる。利用客の半分以上が町外からの人だというが、遠方からこの露天風呂をお目当てに訪れる人も多いのだろう。

 露天風呂は5、6人ほどでいっぱいになる広さだが、同じ源泉を使った内風呂もあり、こちらは広々とした湯船でゆったりと体を癒やすことができる。

 「一番の売りは、やはり絶景なのかな」。そんな先入観を持って温泉の特徴を聞くと、支配人の五十嵐信一さん(54)からは「一番自信を持っているのは温泉の効能です」と、意外な答えが返ってきた。その理由は、温泉の成り立ちにもつながっていた。

 同温泉によると、「宝亀二(771)年、金山谷早戸邑の川端に温泉湧き出ずる」と会津正統記に記され、温泉の由来は約1250年前にさかのぼる。

 伝承では、只見川沿いの巨岩の下に飛来した鶴が、傷ついた足を温泉に浸しているのを地元の農民が見つけた。農民が入浴すると、一度で手足の傷や疲れが癒やされた―と伝わる。つるの湯の名前もこの伝承が縁起とみられ、温泉発見の年号にちなみ「宝亀の湯」とも呼ばれた時代もあったという。

 ダム建設により、昔からの源泉は水没したが、近くで新たな源泉が見つかった。現在はこの湯を掛け流しで利用している。

 数分もつかれば芯まで温まる湯は茶色く濁り、「薬湯」といった言葉がぴったり。伝承の通り、外傷ややけど、皮膚病などに効能があるとされ、飲泉療養にも利用されている。湯治棟も今年4月にリニューアルされ、長期滞在する湯治客でにぎわっている。

 ◆ラーメンが名物

 今夏には、温泉の湯を使った新たな魅力も加わった。湯から精製した塩を利用した「つるの湯ラーメン」。喜多方ラーメンの人気店「喜一」の監修を受けて誕生したこの塩ラーメンは、湯上がりにはほどよい量とさっぱりした味付けで人気メニューとなり、温泉のPRに一役買っている。

 大自然を前に湯船につかると気持ちがリラックスし、次第に五感が鋭敏になってくる。川面に日の光がきらきらと反射する様子や、風の音がいつもとは違うもののように感じられ、自然との一体感を味わいながら体を温めた。

 【メモ】早戸温泉・つるの湯=三島町早戸字湯ノ平888。有料の個室休憩所も備え、敷地内にはお食事処(どころ)つるやもある。

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 【和舟から楽しむ雄大な眺め】つるの湯の近くの桟橋からは、只見川の雄大な景色を和舟から眺める「霧幻峡(むげんきょう)の渡し」が運航されている。昭和の中ごろまで地元の住民が交通手段として利用していた渡し舟を観光資源として活用しようと、金山町の郷土写真家星賢孝さん(69)らが復活させた。ゆったりと進む和舟から、紅葉の風景などを楽しめる。テレビなどで人気に火が付き、遠方から観光客が訪れるなど混雑しているが、日時によっては予約が可能。

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〔写真〕人気の霧幻峡の渡し