【 柳津町・会津柳津温泉 】 門前町の風情に浸る 源泉は円蔵寺あり

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円蔵寺の源泉から引いた湯は、冬の奥会津観光で訪れた宿泊客を体の芯から温める

 赤べこ発祥の地として知られる会津柳津。磐越道会津坂下インターチェンジ(IC)から国道252号を只見方面に向けて車を走らせること約10分。悠々と流れる只見川に架かる赤い橋を通過すると、眼前に柳津町のシンボル福満虚空蔵菩薩(ぼさつ)円蔵寺の門前町として栄えた柳津温泉街が現れる。大自然と風情あふれる温泉街に目を奪われた。奥会津の厳しい冬の寒さで冷えきった体を温めるべく、只見川沿いにたたずむ温泉宿「瀞流(せいりゅう)の宿かわち」を訪れた。

 出迎えてくれたのは2代目女将(おかみ)の堀内久美さん(59)。温泉の特徴を尋ねると開口一番「円蔵寺から引いた山塩の源泉が特徴です」と堀内さん。源泉は宿から約400メートル離れた高台にある円蔵寺の敷地内から引かれている。泉質はナトリウム塩化物泉で水素イオン指数(pH)は7.8。肌のかゆみがやわらぎ、保湿効果もあるという。百聞は一見にしかず。さっそく温泉へ向かった。

 まずは内湯の大浴場。お湯の温度は約42~43度と、冷えた体にはちょうど良い。ゆったりとした広さで気持ちも開放的になる。露天風呂は、2017年にリニューアルしたヒノキの浴槽。夜は、浴槽がLED(発光ダイオード)で照らされ、幻想的な雰囲気を楽しめる。温泉を出る前に堀内さんのある言葉を思い出した。「温泉成分は大変貴重。ぜひ、シャワーで流してしまわず、タオルで軽く押さえて体になじませてください」。円蔵寺からの源泉にありがたみを感じながら温泉を後にした。

 ◆訪日客にも人気

 風呂から上がると、宿泊プランで提供しているご当地グルメ「会津柳津ソースカツ丼」のおもてなしが待っていた。宿ではソースカツ丼のほかにも、あわまんじゅうや「雪下キャベツ」を使ったロールキャベツを提供するグルメや只見線復興応援プランなど、さまざまな宿泊プランを用意している。

 ふと、眼下に広がる只見川に目をやると、堀内さんがとある伝説を語り始めた。「魚淵(うおぶち)のウグイ」にまつわる伝説だ。その昔、弘法大師が福満虚空蔵菩薩像を彫り、その残片を川に投じたところ、それがウグイと化したと言われている。魚淵は、ウグイの生息地として国の天然記念物に指定されている。宿の近くには鮮やかな赤色の欄干が続く「清姫橋」と呼ばれる遊歩道があり、春になるとウグイの群れを観察することができる。

 温泉の魅力もさることながら、「四季ごとにさまざまな表情を見せる」(堀内さん)柳津の温泉郷。最近では、インバウンド(訪日外国人誘客)の旅行客のリピーターも増えてきているという。「観光だけにとらわれず、お客さまと共有する時間や空間を大事にしていきたい」と堀内さん。歴史と自然が織り成す大パノラマと、人情あふれる温泉宿の温かさが、多くの人の心をとりこにしている。

 【メモ】会津柳津温泉「流の宿かわち」=柳津町柳津字下平乙150の1。日帰り入浴可(要電話相談)。

柳津町・会津柳津温泉

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 【24日まで「会津の冬」展】瀞流の宿かわちに隣接する柳津町の観光休憩施設「憩の館ほっとinやないづ」近くには、会津が生んだ世界的版画家斎藤清の作品を展示する「斎藤清美術館」がある。メインの展示室では、季節ごとに企画展が開かれており、現在は、代表作「会津の冬」の展示が行われている(24日まで)。斎藤清を紹介するビデオを上映する映像コーナーや、多目的ホールも設置されている。開館時間は午前9時~午後5時。月曜日は休館。観覧料は一般510円、高校・大学生300円。中学生以下無料。

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〔写真〕柳津町ゆかりの版画家斎藤清の作品を展示する「斎藤清美術館」