平工、延長10回サヨナラ 田村・主砲の一発フイ「悔いはない」
平工が延長戦の末、田村を3―2で下した。
一進一退の攻防が続く球場に、悲鳴と歓声が交錯した。2―2の同点で迎えた延長10回裏、2死一、二塁から平工、水野佑晟(3年)が放った打球は三塁線へのゴロ。凡退かと思われたが、三塁手の送球がそれ、ワンバウンドしたボールを一塁手がはじいた。この間に二走畠山優晴(2年)が生還し、ゲームセット。捕手として守備陣をまとめてきた田村の武藤正大(3年)は歓喜の平工ナインを背に、ホームベース上に立ちつくした。
4回に先制した田村は7回、武藤の右越え本塁打でリードを広げる。しかしその裏、連打を許すと同点に追い付かれる。「取るべき時に取れなかった」と武藤は唇をかむ。
武藤は1年の夏からベンチ入りし、先輩の背中を追い続けてきた。最後の夏は本塁打で主砲としての存在感は示したが、勝利までは引き寄せることができなかった。「勝ちたかったけど悔いはない」。その目に涙はなかった。