ふたば未来・高橋...どん底から最後笑顔 右投げ断念、左で再起

 
イップスを乗り越え、主将としてチームを引っ張ったふたば未来の高橋(右から3人目)=いわきグリーンスタジアム

 いわき市のいわきグリーンスタジアムで25日に行われた第101回全国高校野球選手権福島大会準々決勝。光南に敗れたふたば未来の主将高橋佑輝(3年)は、中学時代に発症したイップスを乗り越え、左投げの一塁手として初の8強進出を果たしたチームをけん引した。

 二本松二中時代は捕手を務めていたが、3年夏のある日、突然送球に違和感を覚えた。二塁への送球はそれ、投手の胸元にボールを返すことすらできなくなった。「何とか治さないと」。焦れば焦るほど、感覚を思い出せなくなった。

 「もう右は無理だ。左を試そう」。高校入学後に左投げに転向した。最初はキャッチボールすら満足にできなかったが、仲間に「ドンマイ」「大丈夫だ」と励まされ、練習を重ねた。投げられる距離は少しずつ伸び、今では約70メートルまで正確に送球できるようになった。

 今大会で初めて劣勢に立たされた延長10回裏。3点を追う先頭打者として左前打を放った。「苦しみを知っている分、周囲に目が行き届く」と主将に任命された高橋。最後まで諦めない姿勢で、チームを鼓舞し続けた。

 「どん底」から始まった高校野球だったが、チームの歴史に確かな足跡を残した。「挫折しそうになっても、支えてくれる仲間がいた。ふたば未来を選んで良かった」。左腕に目を向け、最後は笑顔で球場を後にした。

 【7月25日の試合結果】夏の全国高校野球福島大会・第11日

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