聖光学院、壮行試合でナイン『結束』 始まる...忘れられない夏

 
11日の壮行試合で最終回に安打を放った記録員の鈴木(中央)をたたえる聖光学院ナイン。結束を強め特別な夏に挑む

 18日、県内の5球場で一斉に開幕する福島2020夏季高校野球大会。新型コロナウイルスの影響で無観客開催、甲子園への切符もない。それでも野球ができる喜び、仲間との絆、プライドを懸けて球児たちはこの夏に完全燃焼する。

 「心の中の甲子園に向かって戦っていきたい」。夏の福島大会13連覇中の聖光学院の内山連希主将(3年)は異例の大会を見据える。5月16日、最大の目標である夏の甲子園大会の中止が濃厚になった時、3年生の部員が集められた。「引退したいと思っている選手はいるか」。斎藤智也監督の問い掛けに目を閉じた部員たちの手は誰一人挙がらなかった。

 開幕を1週間後に控えた今月11日。同校野球部グラウンドでは、チームの結束を高める恒例の壮行試合が行われた。

 3年生の控え選手同士で戦った1試合目。最終回に記録員の鈴木遥介(3年)が打席に立った。鈴木はマネジャーのいない代で2年から選手兼記録員としてチームを支えてきた。「いけ! 遥介!」。ユニホームで涙を拭いながらその背中に声を掛け続けたナイン。鈴木はセンター方向に白球を打ち返すと、一塁ベース上であふれる涙を拭った。「バッターボックスに立った時、3年間の思いが込み上げてきた。全力を出して大会に臨んでほしい」と鈴木は仲間に思いを託した。「この仲間と一試合でも多く試合がしたい」と思いを受け取った内山。涙で結束した聖光ナインの特別な夏が始まる。

 【 組み合わせ 】福島2020夏季高校野球大会(代替大会)

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