中学時代は卓球部...安達の長身エース力投
卓球部出身という異色の経歴を持つエースが力投した。12日に福島市の信夫ケ丘球場で行われた夏の高校野球福島大会2回戦。安達は第4シードの福島商に0―5で敗れたが、先発した右腕の小柳太洋(3年)は集大成の舞台に全てをぶつけた。
小学5年生の時に二本松市の油井スポーツ少年団でソフトボールを始めた。安達中では、「そこまで野球がやりたいわけではなかった」と卓球部に所属。ラケットを持ち、ピンポン球を追い掛ける日々だったが、体育館の隣のグラウンドで練習する野球部の楽しそうな雰囲気に憧れていた。
高校で一念発起し、野球部に入った。ポジションは一塁手。それでも、「野球の主役はやっぱり投手」とひそかに自主練習で遠投や投球練習を続けていた。
昨秋の新チーム始動後、練習試合で投手が足りなくなり登板すると、好投した。カーブやスライダーなどの変化球を習得し、身長180センチ、体重80キロの体格を生かした威力のある直球に磨きを掛けてきた。
「背番号1」を付けたのは今春から。チームメートから信頼を得てエースになった。著しい成長に橋本紀彦監督も「監督人生で初めての経験」と目を細める。
この日は試合途中で右脚がつりかけながら、5回3失点の粘りの投球を見せた。野球は高校でやめるつもりだ。「今後は消防士や警察官を目指して勉強する」と小柳。次の目標に向けて歩み始める。